2006/03/15 Wed
『その日はいつもと変わらずに暑い日だった。』より
その日はいつもと変わらずに暑い日だった。
俺は残った仕事を片づけようと、 一人オフィスに残って
パソコンに向かっていた。そろそろ仕事を切り上げようかと思ったその時、
メールが送られてきたことを知らせる聞きなれた電子音が鳴った。
「ん?」
俺はメールに目を走らせた。差出人は……知らない名前だ。
「いたずらか宣伝かぁ?」
あまり深くは考えずに、メールの中身をチェックする。
するとそこには、懐かしいあのキャラクターがあるではないか。
「マッキー……」
もう3年も前になる。自らの巨大さに耐え切れずに陥落した
超巨大テーマパーク「プロミストアイランド」。その存在に終止符をつけたのは、
今日のような暑い夏だった。
奇しくもその日は、俺の学生時代における「最後の夏休みの日」でもあった。
あれから社会人となり、そこそこ平凡な日々を送ってきた。
だがプロミストアイランドが存在していたときのように、気持ちが熱く高ぶることはほぼなかった。
マッキーを見る俺の胸に、熱いものが込み上げてきた。マッキーの輪郭がにじんで見える。
終わってしまった夏休み。俺は居たたまれなくなり、
かつてプロミストアイランドが存在していた場所へアクセスする。
驚くことにそこには大きく「プロミストアイランド」の文字。
――お兄ちゃん お兄ちゃま あにぃ お兄様
おにいたま 兄上様 にいさま アニキ
兄くん 兄君さま 兄チャマ 兄や――
天使のようなその笑顔は、紛れもなく12人の妹たちのものだった。
規模は縮小されているものの、雰囲気はほぼかつてのまま。
吉田が乱立し、じいや(執事)が飛び交う。
俺の体は信じられないものを見たかのように、小刻みに震えていた。
【参考】マッキー像
http://www.plaza.across.or.jp/~evi-na/sispri/island/08_macky.htm